未来の人財を育てる
職場では、ろう者にも様々な能力が求められます。アモールでは、ろう者と聴者が共に働く現場から、いま、ろう者に求められているものを分析し、「アモール学習室」に反映しています。
日々の業務を遂行するために必要な能力は、一朝一夕に身につくものではありません。そこで、アモールは教育の重要性に目を向け、未来の社会を担う人財育成に力を入れています。
アモール学習室とは
1.ろう児のための学習室です。
先生もろう者で、終始手話を使って勉強を教えます。
ろう者の視点からろう児に合わせた学習方法を考え、指導に取り入れて
います。
2.ろう者の就労実態をもとに指導します。
(株)アモールでは、聴覚障害者を積極的に雇用しています。
ろう者の就労実態をもとに、企業の視点も織りまぜた学習室です。
将来を見据えた指導を行います。
3.一人ひとりの「生きていく力」を育みます。
教科学習だけではなく、学習を通して集中力や処理能力、最後まで
やり遂げる力などの「社会で生きていく力」を育みます。
学習前に様々な教材を使って頭のストレッチを行い、物事に取り組む姿勢を
身につけます。
一般常識など社会のルールも指導します。
4.保護者の方との連携を大切にします。
学習室とご家庭とが両輪となってお子様の成長を見守っていきたいと
考えています。
ご希望がありましたら教育・生活相談を行いますので、お子様との関わりの
中でお困りの事などがありましたらご遠慮なくご相談ください。
言葉で解説してほしかった
自身、小・中・高校時代を振り返って強く思う事のひとつに「言葉で解説してほしかった」というのがあります。
勉強はいくらできても感覚としては分からなかったことの方が多かったように思います。
各教科を例にとってみましょう。
国語:手話に出会うまでは、口話は単なる意思伝達手段に過ぎなかった
数学:覚えなくてはいけないことと、理解しなければならないことの違いがある
英語:国語同様に意思伝達手段に過ぎず、文法は理解できてもコミュニケーションを
楽しめなかった
理科:なぜなのかといった理解を深めるまでに至らず、森羅万象とのつながりを意識
できなかった
社会:暗記に終始しがちで、歴史の面白さが分からない
公立高校に入学したものの上記のような疑問から高校生活に意義を見出せず中退、聾学校に編入、大学進学を選択したのが高等部3年の12月でした。聾学校もろくに通っていませんでしたから全然分からず、受験までの2ヵ月間で高校3年分をやり、一般入試で現役合格しました(当時全国の聾学校高等部から4年生大学に進学したのは全国で3名でした)。
確実に言えることは小・中学校の学力がきちんと身についていれば、その後の人生においても有効だという事です。
また、学生時代に様々な活動を通して、子ども時代に身につけた知識と経験、常識、感覚がものをいうことを身をもって実感しています。
学生時代にある先生から紹介された家庭教師をきっかけに、きこえない子どもと出会い、そのこどもの成長を自身も自分の人生の成長と思い、自分の人生で逃してしまった部分をこどもの成長とともに経験すると云う素晴らしい経験をしたのが、「アモール学習室」の原点です。
いまのこどもたちは手話が当たり前で、本当に恵まれています。
ですから、自身や仲間たちが積み重ねてきた知識と経験、基盤と人脈を継承、乗り越えていってほしいと強く願っています。
水澤 学
水澤 学
担当:小学・中学全教科
兵庫県立御影高等学校、兵庫県立神戸聾学校高等部を経て、佛教大学社会学部社会福祉学科卒業
大阪YMCA国債専門学校、大阪医療福祉専門学校、埼玉県立大学、瀬戸内短期大学の非常勤講師を経て、現在、四国学院大学で日本手話の講義を担当。
12年以上もの講師としての実績をもっています。
2006年株式会社アモールの代表取締役に就任、聴覚障害者の就労実態を研究するとともに聴覚障害者のキャリアアップ教育にも取り組んでいます。
小・中・高校、教育委員会、聾学校及び企業等での講演も精力的にこなしています。
三重県立三重聾学校全校研
「社会からみた聾学校ーことばは通じ ている?ー」
第16回職業リハビリテーション研究発表会
「聴覚障害者の労働生産性を高める取 り組みーきこえる人と一緒に働くた めに必要なことー」
徳島県立徳島聾学校教員対象研修会
「社会の中でのろう者ー立場・生活・ 仕事ー」
島根県立浜田聾学校進路講座